窓/サッシ 今や省エネで結露防止の複層ガラス+断熱サッシが標準採用の時代です

窓の機能と役割

環境に配慮したデザインが求められているなかで、窓は採光や遮熱など重要な機能をもち、その性能や組合せによっては居住環境に大きな影響を及ぼす住宅部材である。近時は特に住宅そのものが温熱環境面で性能が向上しているため、窓に課せられた役割も大きなものになってきた。窓は、もはや従来のような単板ガラスとアルミサッシを組合せた単純なものではなく、高機能化した住宅設備品となっている。
 
 
そもそも「窓」とは何か?
 
窓の原型は、日本の伝統建築ではもともとは柱と梁によって囲まれた空間で、板戸や蔀戸が原型である。開け閉めできる板戸が、次第に障子などの和式建具となり、窓を形成した。板の代替に用いる材料によってガラス障子や明り障子、襖になったわけである。

もう一つの原型は、石やレンガを積んで建物をつくる組石造が発達した欧州で多くみられる、壁の重さに逆らって穿かれた「穴」で、風や明りを取り入れるものである。英語でWindowと表現するのはこの穴である。

近代になって鉄筋コンクリートや鉄骨を使った建物ができるようになって、自立した壁に自由に窓を設置できるようになった。現在では、建物を外皮で覆い、構造とは無関係に窓を設けることのできるビル用のカーテンウオールなどというものもある。
 
現代の窓の役割は、何を遮断して何を透過させるかの「選択透過性」
 
柱と梁に囲まれた和風の窓は雨や風を遮断する役割、壁に穿った欧風の窓は風を通す役割に重点がおかれていました。近代以前の窓はそれぞれに一長一短がありましたが、現代の窓は意匠性に加え、機能面でも「遮断」と「透過」の相矛盾する性能を兼ね備える「選択透過性」が重要な役割です。何を、どの程度に遮断、もしくは透過させるかは、その窓が設置される場所、方角や日射条件、風力と風向によって、細かく機能と性能を設計しなければなりません。

採光や遮熱のほかにも、防火、遮音、防犯、プライバシー、水密、省エネ、など窓には様々な機能が求められます。窓の形も、採光を重視すると縦長の窓が有利ですし、プライバシーを考えると低位置の横長窓が有効です。窓の形や大きさは、建物全体の外観にも影響を及ぼします。窓面積の大きなものは、窓廻りの温熱環境が不利になりがちなので、室内空調やブラインド、庇や簾などの追加対策が必要となることがあります。
 
窓の必要な機能を決める要素と各々の要素別要求性能は下記の表によりますので、デザインを決定する際の参考にしてください。
 
窓に必要な機能を決める要素
 
室  外 室  内
気候  日射・温湿度(一日/通年) 居住性  最適温湿度
 降水量  最適照度
 風(風速/風向)  最適換気量/気流速度
周辺環境  騒音/音源  最適音環境
 大気汚染 インテリア  家具
 振動/地震/電磁波  観葉植物
地域要素  歴史・風土的特性    
 ヒートアイランド現象    
 生態系(植生/水系)    
 
要素別の要求性能
 
要素 外部要素(外から内へ) 内部要素(内から外へ)
(日射の)遮光/採光/調光/防げん (照明光の)遮光
(太陽熱の)遮熱/採熱/集熱 (室内冷温熱の)断熱/排熱/放熱
(雨水に対する)水密/止水/防水/防潮 (室内結露水の)排水
延焼防止/防火/耐火 (室内からの)防火/耐火
(外部騒音の)遮音/防音 (室内音源の)遮音
空気 (新鮮外気を得るための)換気/給気
(汚染空気に対する)気密/防塵/防臭/防煙
(室内空気の)換気/排気/排煙
耐風/防風/通風  
地震力 耐震力  
電磁波 (電磁波の)防磁/透磁 (室内発生元からの)遮蔽
人/物/虫 防犯/防虫/防鳥/防弾 防災/避難/利便性
錆び/汚れ 防食/防錆/防汚/清掃性 清掃/維持管理/操作性
 

省エネ性に影響を及ぼす主な要素

窓の役割は、光や水、熱、空気などの様々な要素の「選択透過性」です。「光と熱」に関する建物の省エネ性能を評価する指標のひとつにPAL(Perimeter Annual Load)値があります。建物のぺリメーターゾーン(外壁から5m以内の室内空間のこと)の1m2当たりの年間熱負荷を表す値のことですが、PAL値に影響を及ぼす主な要素は、住宅の「光と熱」の環境を考える上でも大変参考になります。
 
建物配置/平面計画  地域区分(一般地域/寒冷地域) 緯度
 主たる外壁の方位 部屋配置 階高
日射熱  窓の断熱性能 日射遮へい性能 窓ガラスの種類  ブラインド等の有無
   外壁/床の断熱性能
   庇や日よけ、ルーバーの有無と形状
   窓面積比(窓面積/外壁面積)
貫流熱  窓の断熱性能 外壁/床の断熱性能 窓ガラスの種別と構成
   壁面積比(外壁面積/床面積)
内部発熱 照明発熱 人体発熱