太陽エネルギーの利用 光エネルギーを利用する太陽電池と熱エネルギー利用の太陽熱温水器

光と熱 クリーンな太陽エネルギー利用のすすめ

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                                 出典:JPEA(太陽光発電協会)の資料より

空想にしかすぎませんが、地表に到達する太陽エネルギーは1W/1m2でほんの一時間分で全世界の一年分のエネルギー消費量を賄えることができるといわれているほど、無尽蔵でクリーンなエネルギー源です。太陽エネルギーの有効利用は、年々深刻化するエネルギー資源確保の問題や地球温暖化防止と環境保全対策の有効な手段とされています。太陽のエネルギーのうち、光エネルギーを直接電力に変換する機器が太陽電池で、太陽光(ソーラー)発電システムの中心となるものです。また、太陽の熱エネルギーを利用するのが太陽(ソーラー)熱温水器で、水を温めてお湯をつくるものです。

太陽電池とは

太陽電池(光電池とも呼ばれる)はある特定の物質(半導体)に光が照射されると起電力が発生する現象を利用するもので、主流のシリコン系半導体(主流は多結晶系)のほか、光吸収層の材料や素子の形態により化合物半導体や有機系の様々な種類のものがあります。電池という名前がついていますが、一次電池(乾電池など)や二次電池(充電式電池)のような電力を蓄える機能はありません。ちなみに、太陽光発電は英語ではPhotovoltaic(PV=光起電)と呼ばれています。

太陽電池は光エネルギーを利用するので、熱には逆に弱く、高温時の夏場はロスが大きくなります。但し、夏場は日照時間が長く、天候も比較的安定している面もあります。年間で最も発電量の多い季節は、初夏。気温が25℃前後で日照時間も長い5月という実証データがあります。

太陽電池の発電量を決定する設置条件面での要素は、
  1. 日照時間と日射量
  2. パネル設置の面積と方位と傾斜角
  3. パネル表面の温度
  4. 設置面角度の均一性と均一日照

です。この要素で設置の場所と方法の適格性が決定されます。

太陽電池の原理

現在最も多く使われている太陽電池は、シリコン系太陽電池です。この太陽電池では、電気的な性質の異なる2種類(p型、n型)の半導体を重ね合わせた構造をしています。太陽電池に太陽の光が当たると、電子(-)と正孔(+)が発生し、正孔はp型半導体へ、電子はn型半導体側へ引き寄せられます。このため、表面と裏面につけた電極に電球やモータのような負荷をつなぐと電流が流れ出します。これらの素子をつなげてより大きな起電力をもたせたものが太陽電池です。pvgenri

太陽電池の種類

 シリコン系(素材による分類)
 結晶系  単結晶シリコン太陽電池  単結晶ウエハを半導体の基板に用いるもので、
 古くから使用されている。変換効率は高いが、シリコン
 利用量が多いため、近年は多結晶型や薄膜型へ
 移行している。変換効率は15~20%
 多結晶シリコン太陽電池  結晶の粒径が数ミリの多結晶シリコンを利用。エネルギー
 収支も良好で、近年ウエハを薄型化する技術革新でコスト
 と性能のバランスもよくなり、現在の主流。12~15%
 非結晶質系  アモルファスシリコン太陽電池  化学気相成長(CVD)によるアモルファスシリコンを利用。
 使用するシリコン量が少なくて済み、高温時の出力低下が
 少なく、低照度時や蛍光灯の短波長光にも感応する特色
 がある。欠点は、太陽光での劣化。7~10%
 シリコン系(形態による分類)
   薄膜型  シリコン層の厚みを薄くしたもので、ウエハの切断厚を薄く
 したものやCVD法によるものがある。薄膜のままでは、
 十分に入射光を吸収できないため、表面テクスチャーを
 描画して入射光の利用効率を高めたものがある。
 ハイブリッド型(HIT型)  結晶シリコンとアモルファスシリコンを積層したもの。通常の
 結晶シリコンと比して、変換効率が高く、温度特性も良い。
 三洋電機が得意とする。
 化合物半導体系
   GaAs系  単結晶のGaAsを用いるもので、最も高い変換効率を達成
 CIS族系  新型の薄膜多結晶型で光吸収の材料にCu,In,Ga,Al,Se,
 Sなどからなる化合物を用いる
   量子ドット型  化合物にナノメートルサイズの極微細な半導体粒子(ドット)
 をつくりこみ、「量子効果」と呼ばれる現象を利用するもの。
 半導体の大きさや構造を工夫すれば、太陽光に含まれる
 様々な波長の光を効率的に利用できるので、理論的な
 発電効率はシリコン系の約2倍にあたる60%といわれる。
 有機系
   色素増感型  光吸収層にルテニウム錯体などの色素を吸着させた電解
 質を挟み込んだもの。製法が簡単で生産コストも低い。
 有機薄膜型  導電性ポリマーなどを利用した有機薄膜半導体。
 電解質を用いないため柔軟性や寿命向上で有利なるも、
 変換効率が低く今後の課題。

太陽電池の発電効率と長所/短所

太陽電池に入射した光のエネルギーをどれだけ電気に変換できるかを示す性能値で、変換効率が高いほどより多くの電力を発電します。シリコン結晶系の太陽電池の最大変換効率は理論値で22%(25℃常温)といわれています。
 
太陽電池の種類別比較(参考) 発電効率 理論値 国内の主な製造企業
 結晶シリコン型 15%程度 30%  シャープ 京セラ 三洋電機
長所/短所 量産品として実績/原料の供給に不安
 薄膜シリコン型 10%弱    シャープ カネカ 三菱重工業
長所/短所  
 化合物型 10%程度 30%  昭和シェル石油 ホンダ
長所/短所 シリコンを使わず耐久性が高い/高価な希少金属を使用
 有機薄膜型 数% 30%  東レ 三菱化学 トッパン・フォームズ
長所/短所 安価な素材で薄くつくれる/耐久性が低い
 色素増感型 数% 30%  シャープ アイシン精機 フジクラ
長所/短所  
 量子ドット型 16% 60%  シャープ
長所/短所 潜在的な発電効率が高い/製造法・大型化に課題

発電量はシステムに搭載された太陽電池の出力(モジュール面積とモジュールの変換効率で決まる)とパワーコンディショナーの能力や機器のロスに日射量(日射x時間)を積算して算出します。標準的な3KWシステムの年間発電量は一般的に約3,000kWhとなります。

セルとモジュール

太陽電池はその構成要素によって呼名が異なりますのでご注意ください。「セル」(細胞)が基本の最小単位の素子で半導体に電極などを付けたものです。セルを組合せ配置して屋外で使用可能なように強化ガラスで表面を覆いパッケージ化したものが「モジュール」とか「パネル」と呼ばれています。更にモジュールを複数枚並べて直列あるいは並列に接続したものを「アレイ」と呼びます。

アレイで発電した直流電力を交流に変換するパワーコンディショナーや専用の分電盤や余剰電力売電用の電力計、モニタなどを組み合わせてシステムにしたものが太陽光発電(もしくはソーラー発電)システムです。

発電出力で10KW未満の住宅用とより大規模な出力の産業用の太陽光発電システムに区別されます。20KW以上のシステムの場合は、電気事業法に基づき第三種以上の電気主任技術者の選任が必要となります。

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   サッカー競技場(ドイツ)      サッカー競技場(スイス)    大規模発電所(スペイン)

出典:KYOCERA資料より


太陽電池にパワーコンディショナーなどの装置を搭載したものが太陽光(ソーラー)発電システムと呼ばれています。