暖冷房と断熱 どのレベルまで断熱性能を高めればよいのでしょうか?

冷暖房機器の普及で夏は涼しく冬は暖かい暮らしが当然となり、家庭で消費されるエネルギーは年々増加しています。家庭での消費エネルギーを最小にするには、省エネ家電を利用することも大切ですが、住宅をそっくり断熱材で包み込むことが最も有効です。
 
断熱材の種類と特徴
 
住宅の外側(専門用語では「外皮」という言葉を使います)を包み込む断熱材には、様々な種類がありますが、大別して繊維系のものと発泡プラスティック系のものがあります。いずれも、熱を伝えにくい空気を動かぬように抱え込んだ空気層が断熱効果を発揮します。
 
syuruiJCCCAのWebサイトより引用
 
断熱工法
  
断熱材の種類に応じて、大別すると (1)充填工法 (2)吹込み(ブローイング)工法 (3)外張り工法の三種類に分類できます。

「外断熱」か「内断熱」か?どちらが優れているか?という話題のなかで、いかにも「外断熱」が優れていて、内断熱はだめだ、古いといったニュアンスの説明がよくなされていますが、惑わされぬようにしてください。「外断熱」という言葉は、マンションなどの鉄筋コンクリート造等の建物の外皮を断熱する場合に使われる言葉で、軸組み木造住宅やプレハブ住宅では、一般的に「外張り断熱」という言葉が正確な言葉です。

「外張り」工法は、柱の外側に断熱材を張り巡らすもので、連続性に優れた断熱層が得られる特徴がありますが、住宅外皮に凹凸の多い住宅では施工が難しくなる欠点があります。これに対応するものが「充填」工法で、柱と柱の間に断熱材を敷きこむものです。吹込み工法は、エアブロアで断熱材を隙間なく吹き込むもので、より高い充填度が得られる特徴があります。いずれの工法でも、断熱材の連続性を確保すること、言葉を代えていえば隙間をなくし、垂下りなどが発生する施工不良を避けることが大切です
 
kouhouJCCCAのWebサイトより引用
 

断熱材と工法の選び方

断熱材の選択に際してのポイント
  1. 断熱性能:熱伝導率が低いものほど断熱性能が高いが、価格も上がる
  2. 防火性:それぞれの材料に固有の防耐火性レベルがある。一般的に繊維系の材料はレベルが高い
  3. 耐久性:経年劣化による断熱性能の低下とシロアリ被害に対する抵抗力
  4. コスト:費用対効果(断熱性能)
  5. 環境度:LCA評価によるCO2発生量
  6. 施工性:断熱性能は正確な施工がされて初めて効果が発揮されるもの。施工性の良いものが最良
施工性についてのポイント
  1. 断熱層・防湿層が連続していること
  2. 施工手順の標準化
  3. 断熱欠損が生じないよう丁寧な施工をすること
  4. 充填断熱では室内側の防湿層は不可欠
  5. 気流止めと暴風層の施行
断熱材選びの手順
  1. 設計した断熱性能を満足する断熱材の中から最もコストが安いものを探す
  2. 施工性と内部結露対策を確認する
  3. 施工代を含めたトータルコストを確認する
  4. 防火性の確認
  5. 耐久性の確認
断熱材は種類も多く、それぞれ長所や欠点も異なりますが、必要な断熱性能(地域によって異なる)をいかに低コストで実現するかという点がポイントです。その上で防耐火性能と環境性や耐久性を確認するのが賢い選び方です。

断熱性能の表示方法

住宅の断熱性能は、熱損失係数「Q値」(W/m2℃)で表します。これは、室内と室外の温度差が1℃のとき、家全体から一時間に逃げる熱の量を床面積で割ったものです。この値が小さいほど断熱性能が高くなり、省エネルギー基準では、「Q値」の基準値が定められています。
 
断熱性能を高めるには、熱が逃げる5つの経路(図3)をしっかりと押さえて、それぞれに対策を講じることが肝心です。
 
keisuunetuson

JCCCAのWebサイトより引用

充填断熱工法とは

柱や間柱などの構造部材間に断熱材を充填する方法(図4)で、木造軸組住宅で典型的な断熱工法です。断熱効果を高めるには、隙間が生じないよう断熱材の連続性を確保することと内部結露の防止が重要です。
jyuutenJCCCAのWebサイトより引用

室内の湿気が壁体内に侵入すると、外気で冷やされた断熱材の内部で結露おこす可能性があります。内部結露が発生すると、断熱性能の低下だけでなく、木材の腐れで構造材の耐久性劣化につながります。内部結露の防止には、断熱材の室内側にポリエチレンシートなどの防湿気密層を連続的に設ける必要があります。この防湿気密層で室内の湿った空間を閉じ込め、更に壁体内の気流を通気止めで遮断すると、静止空間ができて、断熱効果が有効に機能します(図5)。市販のグラスウール製断熱材には、予めポリエチレンの防湿フイルムがついていますが、施工の際に裏と表を間違わぬよう注意することが大切です。防湿フイルム側が室内です。

さらに、外装材(サイディング等)と断熱材の間に通気層を設けて、壁体内に入り込んだ湿気や外壁材の隙間から入り込んだ雨水などをを排出し、壁体内を常に乾燥した状態にする役目を果たします。天井の断熱であれば小屋裏の換気口、床下の断熱層であれば、床下換気口が同様の役目を果たします。
 
cyuui1JCCCAのWebサイトより引用

吹込み(ブローイング)工法

入り組んだ形状の屋根部や壁体内にエアーの力でセルロースファイバ(天然の木質繊維)などの断熱材を吹き込む(ブローイング)工法です。専用のシートに穴を開けて、そこからホースを差し込んで施工します。

外張断熱工法(木造住宅)

繊維系の断熱材を張り付ける方法です。熱の逃げ道となるヒートブリッジ(熱橋)が生じにくく、断熱気密の連続性を確保しやすいので、外観形状が比較的シンプルな住宅に適した工法です。構造材の外側に気密層を施し、板状の断熱材を専用のビスで打ち、目地を気密テープで張るだけですので、施工性も優れています。柱間のスペースに収まる設備配管や電気配線も容易です。但し、重量のある外壁材を使用する場合、外壁材の表面から構造材までのリーチが長くなりますので、使用するビスの選択と留め付けピッチの設定には十分配慮する必要があります。

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