長期優良住宅を建て主に説明する 住宅の建て主から説明を求められた時、どう説明するか?

必ず押さえておきたい10のポイント

日本の戸建住宅はこれまで持家実現が政策課題だったので、マイホームが実現した後は家族構成が変わったり、世代交代があると取壊しをして建替えを選択するのが一般的となっていた。その結果、日本人は「世界一豊かな国の貧しい国民」という不思議な国になってしまったような気がする。これは、住宅を社会資産としてではなく、車や家電製品と同じような耐久消費財としたためで、その結果壮大な廃棄物と無駄を生ぜしめ、貧しい生活を余儀なくしてしまった。税制や住宅ローン制度など全てがそうなっている。「なぜ日本人はいつまでも豊かになれないのか?」が身にしみる。

長期優良住宅は、住宅を社会資産とすることを目的としている。性能が高く、耐久性にも優れる住宅を建設することで、世代を超えて住み継ぐほか、資産価値のある中古住宅として市場で流通できるようにすれば、資産価値を損なうことなく、生活に限りある原資をつぎ込むことができる。その結果、日本人が初めて国富に相応しい豊かな生活が実現できるはずだ。

それには建て主の意識が変わらなくてはならない。長期優良住宅には7つの認定基準をクリアしなければならない。耐震性や耐久性、省エネ、面積、維持管理などの項目だ。ローン減税や助成制度のメリットもあるが、建築コストも多少余分にかかる。住宅会社はそれを建て主に正しく説明できなければならない。正しく伝えることで、信頼性も向上する。では、いかに説明するか?

全国中小建築工事業団体連合会が監修した10の要点(日経ホームビルダー 2009.10)を参考にポイントをまとめた。

これだけは必ず説明しよう

1.制度の目的を伝えることが説明の第一歩

住宅の質を高めて資産化することが長期優良住宅の狙い。先ずは制度ができた背景や目的をしっかりと説明してください。
 
2.200年住宅はキャッチフレーズ
 
別名200年住宅と呼ばれているが、200年もつ住宅だという保証ではないのでご注意ください。構造躯体では100年程度が目安。
 
3.採用するかしないかは建て主の判断 
 
長期優良住宅は法律に基づくものですが、採用するかしないかはあくまで建て主の判断です。全ての住宅が対象で、採用しなければならないかのような誤解を招く説明は厳禁
 
4.基準を満たすための7つの認定条件
 
認定基準をしっかりと理解して、わかり易く説明してください。できる限り専門用語は使わないように
 
5.メリットもあればデメリットもある
 
ローン減税や建設費の一部助成もありますが、コストアップにもなります。デメリットも合わせて説明をして、後日のトラブルにならないようにすることが肝心
 
6.設備は更新することが前提となっています
 
長期優良住宅は躯体と設備を分けるSI(スケルトン・インフィル)の考え方を採用しています。一般的には聞きなれない言葉なので十分説明をしてください。設備機器は消耗部品の定期交換などのメンテナンスと寿命時の更新があります。
 
7.世代を超えて受け継ぐことになる
 
建て主よりも住宅の方が長くもちます。現在の家族構成や将来の世代交代も視野に入れたプラニングをアドバイスしてください。
 
8.中古住宅として売ることも選択肢としてありうる
 
新築住宅の建て主は、将来、手放すことがあるかもしれないことは想定しにくいが、現実にはありうることなので、設計と維持管理面で市場価値の高い住宅にしておくことが大切。
 
9.定期的に点検して保守もする
 
設備については、10年が点検更新の目安。維持管理のマニュアルと工程表で資産価値の保全を図ることが大切なことを説明しましょう。
 
10.住宅のカルテである履歴を残す
 
資産価値の保全には、建設当時の図面だけでなく、あんしん台録などで点検や補修、リフォーム等の履歴情報の保全が不可欠であることを説明する。
 
(090928)